強いカラダをつくる「カルシウム」
こんにちは。三澤です。
野菜を良く育てるために必要な肥料、養分の解説シリーズ、今回は「カルシウム(Ca)」です。
カルシウムは細胞膜や細胞壁を強化し、病害虫に負けにくい、強い体を作る働きがあり、野菜の生長に不可欠な要素です。
植物の体内を移動しにくい性質があり、新しい上葉への移動がしづらく果実よりは葉、茎に多く含まれる特徴があります。
しかし、カルシウムは光合成で作られる炭水化物の移動にも欠かせないミネラルで、欠乏すると果実への炭水化物も行き渡りません。
不足すれば、実の肥大も悪くなり、味も品質も落とすことになります。
カルシウムの欠乏症は急に起きるため、常に切らさないように注意する必要があります。
とくに、栽培期間の長い果菜タイプなどは、実に症状が出てからでは遅く、不足する前に追肥で補います。
カルシウムは細胞分裂にも関わり、不足すると生長点の生育の抑制されたり、根張りも抑制され、野菜全体の生育不良につながります。
カルシウムはまた、野菜のカラダの中の有機酸を中和し、野菜を甘く美味しくする働きもあります。
野菜の健康な生育に、欠かせないミネラルです。
カルシウムの欠乏症
体内の移動性が悪いカルシウムは、トマト、ハクサイやキャベツ、ピーマン、タマネギといったカルシウムたくさん必要とする野菜ほど、欠乏症が出やすくなります。
トマトやピーマンの尻腐れ、ハクサイ、キャベツ、タマネギなどの芯腐れ、そのほかキュウリ、メロンなどでは、芯止まりなどの症状があらわれます。
また、カルシウムが欠乏すると、必要な要素のバランスが崩れ、病気が発生しやすくなり、葉や茎、根の生育も悪くなります。
カルシウムの欠乏症があらわれるのは、収穫直前ということが多く、せっかく大きくなった果実がダメになってしまうということが起こりがちです。
不足する前に、十分な量を補っておきましょう。
カルシウム欠乏によって生長点の生育が抑制される症状は、ホウ素欠乏とよく似ています。
カルシウム欠乏は、カリ過剰により起きることがあります。
また、チッソが過剰の場合も、カルシウムの吸収を抑えるため、カルシウムはあるのにトマトの尻腐れが出るということが起こります。
水不足によりカルシウム欠乏
カルシウムは、根からの水の吸収とともに、体内へ運ばれます。
夏季の高温などで乾燥が続くと、カルシウムが移動するための水が足りず、また、蒸散が激しいと、葉にばかりカルシウムが集まり、実に行き届かなくなります。
その結果、土壌中にカルシウムがあっても、トマトの尻腐れや、ハクサイ、キャベツの芯腐れが発生しやすくなります。
土は乾かさないように、常に少し湿った状態に保つことが大切です。
カルシウムの過剰症
カルシウムが多すぎると、土壌がアルカリ性になり、カリウム、マグネシウムや、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素などの微量要素の吸収が抑制され、欠乏症を起こします。
とくに、毎作同じように苦土石灰を施すような栽培のやり方では、カルシウムが過剰になっているケース、土壌がアルカリ性に傾きすぎているケースがよく見られます。
土壌酸度(pH)がアルカリ性になりすぎれば、多くの野菜は生育不良になり、とくにジャガイモやサツマイモ、スイカなど、低pHを好む野菜は育たなくなります。
雨の多い日本では、土壌が酸性化していることが多く、石灰や苦土を毎作施すことが一般的になっていますが、毎作施していると、気づいた時にはpHが8を超えてしまうというケースもよく見られます。
結果、必要なミネラルが吸収できなくなり、野菜の生育がいちじるしく悪くなります。
とくに、ハウス栽培では雨があたらないため、カルシウムの流亡がなく、過剰に蓄積しやすくなります。
蓄積されたカルシウムが蒸散する水によって地表面に昇り、表土付近をカルシウム過剰にしてしまう例も多く見られます。
また、カルシウム過剰では土が硬くなり、団粒構造も壊れやすくなります。
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