ミネラルがなければ野菜は健康に育つことができない
こんにちは。三澤です。
病害虫の被害に遭う理由、さまざまですが、以下の3つのうちどれかにあてはまると、病害虫の被害にあう可能性が非常に高まります。
- ミネラル不足
- チッソが多すぎる
- 炭水化物が足りない
良く育たない、病害虫がつく、年々調子が悪くなってきた、…という場合、単純に、ミネラル不足の場合がよくあります。
具体的に、ミネラルにはどんなものがあるか見ていきます。
植物の生長に必須な元素
表は、植物が必要とする元素の割合です。
この17の元素は、植物が生きるために必ず必要なものです。
このうち、肥料として与えるのはチッソから下、ミネラルと呼ばれるのは、チッソ以外の元素です。
さらに、ミネラルの中でも、微量でいいけれど必須なものを「微量要素」と呼びます。
人も野菜もミネラルなしでは生きられない
植物と人間が必要とする必須な元素は、ほとんど共通しています。
たとえばリンとカルシウムは、野菜に必要なだけでなく、人間では歯や骨を作るのに必須です。
カルシウム、ホウ素は、植物の細胞壁、センイを作るために必須です。
マグネシウムは、光合成を行う葉緑素の中心。
鉄は、植物にとっては根張りを良くして、養水分の吸収をスムーズにしたり、光合成を行う葉緑素の形成にも重要な役割を果たしています。
植物にとっては、カリは3大栄養素の一つで、不足すれば水や養分を十分に運べず、根張りも悪くなります。
亜鉛は、植物では葉緑素や植物のホルモンの生成に重要で、人間では、美肌効果や髪の毛の健康に重要です。
ミネラルはそれぞれ必要量は違いますが、なくては生きていけないミネラルという意味では、植物も人間も同じです。
野菜では、体が弱くなり、病害虫の被害に会いやすくなり、美味しさが低下し、収穫量も落としてしまいます。
人間なら、ミネラルが欠乏すれば、いずれ深刻な病気を招きます。
ミネラル欠乏を、風邪薬や頭痛薬、化学農薬や化学消毒といった、応急処置で解決することは出来ません。
どれが不足してもうまくいかない
どれが不足してもうまくいかなくなることをわかりやすく示した図があります。
リービッヒのドベネックの要素樽というモデルです。
イラストは、わかりやすいように僕なりに描いてみたものです。
たった1つ板が欠けているために全体の水が漏れてしまう。
たった1つ要素が足りないために、植物がよく育たなくなる。
それを表現したのがこの図です。
つまり、甘く美味しい野菜を、病害虫に強く栽培するためには、どの養分もバランス良く必要だということです。
この図は多くの示唆に富んでいると思いませんか?人間にも、あてはまりますよね。
どんなに優れたものをたくさん持っていても、たった1つ欠けているために、全部が台無しになってしまうことがあるということです。
ミネラルどろぼう
(イラストは「BLOF(ブロフ)理論で有機菜園」(三澤明久 著/小祝政明 監修)より)
養分を持ち出すばかりでは、いずれ吸収され尽くして、なくなってしまいます。
野菜づくりでは、栽培ごとに、野菜が土から養分を持っていきます。
本来、自然界では、諸物や動物が死ぬと土に帰り、土を豊かにします。
植物のカラダ、動物のカラダ、糞尿、落ち葉、昆虫や、微生物の死骸、これらはすべて有機物です。
自然の状態ではこの循環が機能していますが、作物を栽培し、それ持ち出すということは、自然なことではありません。人がやっていることです。
食べたものや人間の体が、やがてそこに還って行けばいけば循環しますが、野菜は外に持ち出されます。
作物を穫るということは、そこにあった養分を土から持ち出すということ。
持ち出すばかりで補給しなければ、いずれ土の養分は空っぽになってしまいます。
家庭菜園で、1年目、2年目はたまたまよくできたけれど、何年も栽培するうちに、年々収穫が減ってきた、甘みが減ってきた、病気や害虫の被害に会いやすくなってきた、というのは、決して珍しいことではなく、偶然でも、気のせいでも、錯覚でもありません。
毎年安定して、良い作物を作り続けるには、持ち出した養分、ミネラルは、しっかり足りない分を補ってあげる必要があります。
生育中、どんな時でも炭水化物優先、ミネラル優先にしたい
山で、野生で生えている植物が、病害虫の被害だらけ、というのは、あまり見たことがないのではないでしょうか?
自然界では、養分の循環が働き、常に「炭水化物優先・チッソ後追い」、「ミネラル優先・チッソ後追い」の法則が守られています。
チッソは、タンパク質を作るために必須な元素ですが、チッソばかり多すぎる、あるいは先に効きすぎてしまうと、野菜の体はヒョロヒョロと、軟弱に育ちます。
また、病害虫の被害を招きます。
ミネラルが足りなければ、光合成が十分に出来なくなり、作られる炭水化物が少なくなってしまいます。
炭水化物は、作物のカラダを守っている「センイ」づくりに欠かせないもの。
チッソが多いと、カラダの生長に、センイづくりが追いつかなくなってしまいます。
この結果、体の表皮が薄くなり、病気の侵入や、害虫の被害に遭いやすくなります。
もともと、自然界に存在するチッソ分というのはとても少ないものです。
有機物がチッソ分に分解されるには、非常に時間がかかるからです。
そのおかげで植物は、チッソ過剰やチッソ優先になることなく、病害虫の被害もなく、健全に生育しているのです。
BLOFの有機栽培を学び、美味しく病害虫に強い野菜を育てる
BLOF理論で栽培すると、初心者でも、小さな庭やベランダ菜園でも、病気や害虫に強い、驚くほど美味しい野菜が多収穫できるようになります。
有機栽培でも驚くような収量がとれ、味が濃く栄養価の高い野菜がつくれる!本書では、小祝政明氏の提唱した「BLOF」理論の基礎と実践を、家庭菜園向けにわかりやすくイラスト豊富に解説。
太陽熱養生処理で土壌団粒を高速につくり、ミネラルバランスを整えて光合成能力を最大限に発揮させ、アミノ酸を根から直接吸収させて「炭水化物」を余らせる生育に。
小さい畑での太陽熱養生処理のコツ、酵母菌・納豆菌・乳酸菌などの有用微生物の増やしかた・使い方、野菜43種のBLOF流の栽培レシピも掲載。